工場の立退料はいくらになるの?
- 共同不動産鑑定
- 2023年2月7日
- 読了時間: 3分
機械、電気設備などいろいろあるけど補償してくれるの?
移転先での操業に支障がなければいいが、大丈夫?
引っ越しなど休業中の補償もあるの?

工場の立退きを求められているけど、 代わりの物件を探すのも大変だし、 工場の機械類を運ぶのも一苦労。
いったいどこから手を付けたらいいんだろう。
大家さんはどこまで補償してくれるのだろうか。
こういった質問にお答えします。
工場の立退料の求め方 ①鑑定評価基準により求める方法 ②税法上採用されている借家権割合により求める方法 ③損失補償基準に準拠して求める方法
実際のケースでは、 貸主から建物の明け渡しを求められ、 借家人は不随意の立退きを求められることとなったときは
□代替物件との賃料の差額 □代替物件への移転費用 □代替物件へ入居する際に要する費用 □営業休止、従業員休業補償
等、採用する評価手法は店舗、住宅と基本的にはほぼ同じですが、工場特有の項目として代替物件への移転費用が、他の用途に比べ金額が大きくなります。
この動産移転料(機械類等の引越費用)として例示すると以下のものがあります。
①引越費用(重量機械、備品等一式)
作業料(搬出、積込、移設)
養生費
資材費
人員及び道具車
足場レンタル費
諸経費及び管理料等
□工場の引越は、工場専門の引越業者への見積依頼になります。
□重量物などは、場合により窓など通常の出入り口と異なる場所からの搬出となる場合もあります。この場合窓の外に、電線等の障害物があると、さらに追加費用が発生します。
□古い機械類は、製造会社がすでに無いことも多く、重量等機械の詳細を知ることができない場合もあります。
②機械移設費用
分解、移設、据付
移設先での試運転
諸経費等
③電気関係設備移設費用
高圧受電設備(キュービクル)
業務用エアコン
業務用冷蔵庫(プレハブ)
工場の場合、業種、設備の大小にもよりますが、この費用が店舗、住宅に比べて大きくなります。 また機械、電気設備では移設より新規購入のほうが安くなる場合もありますので、両方の見積をとることも必要です。 以前係争当事者の弁護士から、この点を突かれた質問を受けたことがありました。
以上、工場立退料の説明ですが、要は工場の機械類の量により金額が大きく変わる点がほかの用途と異なる点です。
最後に私が担当した係争例をお話いたしますと、
以前、工場の立退料の評価をした物件の近くを通ったので、その場所に立ち寄ったところ、既に工場はなく、跡地には集合住宅が建っていました。 あの案件はもめていたけど、解決したんだ、と安心しました。 そして事務所に戻り資料を探して、当時の工場主に電話をしたところ、 現在は隣接区で工場を再開しているとのこと、 そこで、もし差し支えなければ立退料を教えて頂けませんか、と尋ねたところ、「あの金額で立退いたよ」とのことでした。 あの金額とは、その工場は機械が多かったので、上記③損失補償基準に準拠して求める方法にウエイトを置いた金額でした。
(※本文と写真は無関係です。)
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